第5回目のテーマは「病気で長期に休暇をとることになったとき」。講師は、特定社会保険労務士の小寺佐智子さんです。講座の冒頭では前回と同様に、受講者の皆さんにそれぞれの質問をコミュニケーション・シートに記入する時間をとってから、講義が開始されました。
病気やケガのために休暇をとる場合や、労働災害保険制度などについて、資料を元に詳しくお話しいただきました。
講座内容
1.病気(傷病)の原因
労務災害について
2.どのような休暇があるか
休日、休暇、休業、休職の違い
3.収入の確保
傷病手当金について
高額療養費について
4.保険給付
労災と私傷病との違い
5.万一退職することになった場合
健康保険任意継続
雇用保険失業給付
6.その他
職場復帰支援(Re Work)
テレワークについて
講義の冒頭で、「労働者は法により保護される存在です」とお話がありました。労働基準法や労災保険制度は、労働者の安全や健康の保障に関して雇い主の責任を強く問う側面があります。さらに、傷病手当金など収入保障の制度について解説されるうちに、その意味を実感しました。
近年の新たな動きとして、うつ病などで長期に休業した場合に、職場復帰をスムーズにするための職場復帰支援や、パソコンなど情報通信機器を利用した、場所や時間にしばられない柔軟な働き方(テレワーク)の広がりなどが紹介されました。病気、ケガ、育児、介護などで働き続けるのが困難な状況は、多くの人が直面します。このような多様な働き方の広がりは、才能を活かし収入を得るための選択肢が増えることを意味し、労働者の生活保障の一つと言えるでしょう。
今回の講義では、労働者の生活を支える様々な制度を知って心強く感じました。一方、細かな利用制限もあり、内容自体がわかりづらい印象を持ちました。万一に備えての制度であるからこそ、私たちに情報が届きやすい工夫がもっと必要なのではと感じました。(塚田 恵)
]]>第4回目も午前中に引き続いて、特定社会保険労務士の木村美恵子さんに、
「セクハラ・パワハラの被害者になったとき」のテーマでお話しいただきました。
講座の冒頭では、午前中の講義内容に対する質疑応答があり、その後にセクハラ・パワハラの実態と、被害にあった場合の対処について資料を元に詳しくお話しいただきました。
講座内容
? 職場のパワハラ
Q1.パワハラってそんなに多いの?
Q2.パワハラを受けたことがある人はどのくらい?
Q3.パワハラを受けたら、みんなどうしてるの?
Q4.職場でどういう行為をしたらパワハラに当たるの?
Q5.パワハラとメンタルヘルス不調との関係は?
・パワハラを受けたときの対策
? 職場のセクハラ
Q1.職場のセクハラってどういうことをいうの?
Q2.会社は職場のセクハラ対策をしてくれないの?
Q3.加害者と会社の民事・刑事上の責任
・セクハラを受けたときの対策
平成24年の各都道府県の労働局に寄せられたパワハラに関する相談件数は、平成14年に比べて7倍と急速に増加し、相談が最も多かった職種は、女性は医療・福祉関係であり、男性は不動産業だそうです。
また、パワハラに関する調査によると、4人中1人に被害体験があり、パワハラを受けた人のうち、46.7%は何もしなかったと回答しています。厚生労働省がパワハラに対する指針を定め、セクハラと同様に社会的な認知が向上した結果、相談件数も大きく増加した一方で、パワハラを規制する法律は整備されておらず、被害に対する対策は未だ不完全です。そのような現状も、被害について相談するなどのアクションを起こしづらい要因の1つと感じました。パワハラは、“業務上の指導”との線引きが困難な側面があり、ケース・バイ・ケースで対処する場合が多いそうです。
セクハラの場合は、均等法により、セクハラ対策を講ずることが義務付けられ、大企業においては対策整備が進んでいるものの、企業の大部分にあたる中小企業については未だ対策が遅れています。
パワハラ、セクハラいずれの被害の場合でも、第一に、日時や加害者、場所や状況について、なるべく詳細に被害の記録を残しておくことが重要です。また、孤立するのを避けて信用できる人に相談することは、心身の健康を保つためにも欠かせないことと思われます。
いずれの被害も、当事者の健康面や経済面に大きな障害となり得る重大な問題です。企業側の努力はもちろんのこと、周囲で起こる被害を見過ごさないなど、パワハラ、セクハラを許容しない意識を私たち個人が明確に持つことも、被害を防ぐ大きな要因であると感じました。(塚田 恵)
働きはじめて気になるのが、労働時間です。「上司から残業を命じられると断りにくい」とか「職場の仲間たちに遠慮して、つい働きすぎてしまう…」など、長時間労働を我慢している女性たちの話をよく耳にします。
そういったことにならないためにも、まず大切なのは労働基準法を知っておくことです。ここに定められている労働時間は、大原則として1日8時間、1週につき40時間です。休憩時間についても、労働時間が6時間を超え8時間以内の場合は45分、8時間を超える場合には、1時間の休憩を取ることが決められています。また、労働基準法では、時間外労働・深夜労働・休日労働についても定めがあります。
万が一、残業代の未払いなど、会社からの賃金の支払いに対して疑問や不満を持った場合には、会社と交渉する機会をもつこととなります。その場合、会社の就業規則や給与明細書、業務日報などの資料を準備するのが賢明のようです。
いずれにしても、加重労働は大きな問題です。時間外労働が1か月に80〜100時間を越えると、健康障害のリスクが高まると言われています。「年次有給休暇」は権利ではありますが、自分から請求してこそ得られるものであることも覚えておく必要があります。そして、周りの人たちとうまくやっていくための配慮も大切です。健康診断を定期的に行い、心身を良好な状態に保つセルフケアは、長く仕事をしていくうえで、とても大切なスキルだといえるでしょう。「年次有給休暇」は正社員ではないと取れないのではないか…といったイメージを持つ人も多いと思いますが、パートタイム労働者でも付加されます。疲労を蓄積させないためにも、働く者の権利として、積極的に取りたいものです。(中村設子)
【第4回】
7月28日(日) 13:00〜15:00
ロジカルシンキングを体験する〜具体的手法を使って論理的なスピーチをつくる
講師:本間英彦
講座概要はコチラ
【第3回】
7月28日(日) 10:00〜12:00
視野を広げて考える〜従来の発想から新しい発想方法に挑戦する
講師:本間英彦
ステップ3:視野を広げて考える。〜従来の発想から新しい発想方法に挑戦する〜
?ゼロベース思考で発想を広げる
?ブレーンストーミングで発想を楽しむ
?ピラミッドストラクチャーと話の構築
第2日の最初は、前回の宿題となっていたグループワークの発表です。グループで決めたテーマについて、各グループから一人が代表して、なぜそのように主張するのか、論理を展開しながらスピーチしました。どなたも堂々とした発表でした。
いよいよ、ロジカルシンキングの思考方法にチャレンジです。まずは、これまでの発想をすべてリセットして、まったく新しい発想をすることに挑戦しました。従来の方法を踏襲する考え方は、安心感があり、間違いも少ないかもしれません。ただ、もしすでに行き詰っているのであれば、現状を素早く変えることが求められ、自由な思考・視点が有効的です。そのような力をつけるためのゼロベース思考、ブレーンストーミングを実際に行ってみました。さまざまな制約にとらわれず、自由な発想で物事を考えると、こんなにもいろいろとアイデアが出てくるものだと実感したワークショップでした。
ブレーンストーミングの手法は、わたしも男女共同参画の研修でたびたび活用します。特に大勢の年配の男性の中に少数の女性がいる場合などは、?前例や固定観念にとらわれない、?質より量、?批判せず、議論せず、説明せず、?連想ゲーム ?アイデアは箇条書き というルールは、女性が男性に遠慮しないで意見を言いやすい環境を作り出すようです。
(企画・担当:伊藤静香)
7月27日(土)10:00〜12:00
ロジカルシンキングとは〜ロジカルシンキングの必要性と妨げるもの
講師 本間英彦(経営コンサルタント)
ステップ1:ロジカルシンキングとは。〜ロジカルシンキングの必要性と妨げるもの〜
?オリエンテーション
?ロジカルシンキングとは
?ロジカルシンキングの必要性
?ロジカルシンキングを妨げるもの
?三角ロジックとシナリオ作成
ロジカルシンキング講座の第一日目です。5つのグループに分かれるために、まずは「ジェンダーかるた」で席順を決めました。それぞれ好きな絵のカードをとり、絵カードに記載された頭文字のカードと対の文字カードが置いてある席へ。これは、当センターで時々活用する方法です。受講生のみなさんは、自分が選んだ絵カードと対になっている文字カードに書かれた言葉を興味津々で読んでいらっしゃいました。
さて、講座は受講生全員の自己紹介から始まりました。お名前のほかに、この講座に参加した動機などを交えて1分間でスピーチ。みなさんのスピーチから、受講生の方の多くが、ロジカルシンキングに関心を持って受講されていることがわかりました。さらに、「夫に(わたしの)言っていることがわからないといわれるから、上手に話せるようになりたい」とか、「問題解決の手法として身に着けたい」「本を読んで(ロジカルシンキングについての)知識はあるけれど、実践的にやってみたい」という前向きな方も。そして、「託児があるから」という理由で参加された女性の言葉は、講座担当者として本当に感慨深い、うれしい言葉でした。わたしの子育て時代には、「託児付き講座」などは夢の話で、「子育て中だから受講できない」とあきらめていたのですから。子育て中の女性が託児を利用して自分のスキルを磨く、こういうことが当たり前になったことに改めて「いい時代になったなあ」と思います。
自己紹介の後は、自己チェックシートやグループワークで自分の思考状況を確認しながら、「なぜロジカルシンキングが必要なのか」を理解し、1日目の午前中は終了しました。
(企画・担当:伊藤静香)
★講師の本間英彦さん
気功リラクゼーションの2回目で、連続講座も最終回となりました。この日の名古屋は蒸し暑く、ほとんどの方が身体に熱がこもった状態で、気功をするにはもってこいの日でした。胸や腎臓、腰椎などのポイントをつかって気を発散させていきます。今回は特に、ペアでおこなう気功を体験していただきました。ペアの気功は反応が早く、気の発散の度合いも大きいのが特徴です。気功を受けながら思わず寝てしまう方もいて、終わった後のすっきり感が違います。
2回の気功リラクゼーションで、気功の気持ちよさや普段のセルフケアの大切さを感じていただけたと思います。身体の感覚はうそをつきません。身体の出すサインを尊重して、自分を守り、安全度を高めることにつなげていっていただければと願っています。
気功でリラックスした後は、参加者の皆さんで輪になって、交流会の時間を持ちました。
講座をとおしての感想や、参加した動機のほか、今後やってみたいことなど自由に話していただいて分かち合いました。護身術講師の大沼もと子さんからは、最後に茨木のり子さんの詩の朗読のプレゼントがありました。
講座についてのアンケートでは、講座から役に立つと感じたこととして、直感を信じることの大切さをほとんどの方に挙げていただいています。そのほかに講座から得たこととして、どのように行動するかについては自分で決めてよいことや、何を怖いと感じるかなど、感覚はひとりひとり違うと知ったことなどが挙げられており、今回の連続講座の目的が達成できたと実感しました。
5回にわたる連続講座にご参加いただいてありがとうございました。今回のご縁をきっかけに、参加者の皆さんの様々の活動や交流が広がっていくことを願っております。(塚田
恵)
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連続講座も第3回目。これからは実践中心の内容となります。最初はリラクゼーションです。今回、セルフディフェンスと一緒に、セルフケアをとり上げるわけには2つあって、第一の理由は、午後の護身術の前にリラクゼーションをしておくと、からだの動きがスムーズになり、声も出しやすいだろうと考えたことです。第二の理由として、被害にあった人のほとんどが、被害にあう前に「何かおかしい」と感じていたという調査結果を知り、この直観を磨くために、気功リラクゼーションが役に立つと確信しているからです。
気功リラクゼーションは、からだの感覚を手掛かりにするので、普段とは異なり、からだの内側に意識を向けることをします。そのため、自分の快・不快の感覚に敏感になることができます。快・不快に敏感になれば、自分に必要以上に我慢をさせることができなくなります。ささいなことや直観で「何かおかしい」と感じたら、その感覚を疑うことなく尊重し、暴力から身を守るための行動をとる(その場を離れる、相手の隙を利用して逃げるなど)ことがスムーズにできるようになるでしょう。
ほとんどの参加者が気功は初めてだったので、気功についての説明などからはじめ、じっくりとリラクゼーションを体験していただきました。
(デモンストレーションの様子)
ちょうど名古屋は猛暑日になるくらいの暑い日で、すでに夏バテぎみの方もいらしたようですが、今の季節のポイントを使って、胸や頭にこもった気を発散させていきました。途中でどこからか寝息も聞こえてきて、皆さんがとてもリラックスされたのがわかります。終わった頃には、心もほぐれて、頭もすっきり。午後の護身術に向けての準備が整いました。(塚田恵)
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講演は、性暴力被害について大変丁寧に解説いただくものでした。なかでも支援をする上で常識とされることを問い直す点がいくつもあり、支援全般に対する理解をより深める内容でした。最初に、数例の事例が短く紹介され、その事例が性被害だと判断できるか、被害者にも責任があると感じるかなど、私たちの判断、感じ方を確認しました。女性ばかりの参加者でも、感じ方は分かれました。ここで?山さんは、「“いずれも性被害と判断する”が正答」としてその話題を終えるのではなく、個人の感じ方や価値観には違いがあること、さらに、個人の価値観の多様性と、誰かが被害にあって傷ついた事実とは別であるという点を強調されました。第三者が「これは性暴力にはあたらない」と判断したとしても、被害者の思いやその体験によって傷ついた事実を否定することはできません。「被害者の周りにいる人は裁判官ではありません。正しいか正しくないかをジャッジする役割ではないのです」と?山さんは話されました。
また、性被害を回避するための対処も、一概にどれが有効だとは言い切れないとのことでした。例えばセクハラにあわないための対処として、相手に「ノー」を言うことの重要性はよく聞きます。しかし、ノーをいうことのハードルの高さや、はっきり拒否することがかえって危険になる場合もあるなど、ノーをいうことに伴うリスクもあり、あくまでケースバイケースであることや、性暴力の場面で被害者は、大きな恐怖心のなか、?その被害を超えてサバイブするか、?自分らしく生きるか、の究極の選択をしているということ、さらにその選択には必ず理由があり、だから、その判断や選択は、当事者本人がしたのであればどちらを選んでもよいという点などが心に残りました。
続いて、「支援者に求められることとして“共感が大切”と言われるけれど、果たして共感ってできるのか」と?山さんは問われました。「被害にあった本人と同じように感じるのは難しい。けれど、本人が傷ついた事実は疑う余地がない。カウンセラーに求められることは同情でもなければ、救済でもない。ただ必要なのは、話を聴く、質問する、さらに話を聴く、質問するの繰り返しを通じての理解」「共感とは、相手の立場に立って理解することである」と聞いて、支援の本質が一層クリアになった印象を持ちました。
?山さんは過去にストーキング被害の経験があり、そのことも交えて、何が被害にあった本人の力を奪うか、反対に何が本人をエンパワメントし、回復に役立つかについても話されました。講演を聴いて、支援とは、常に当事者の側に立つ姿勢が貫かれていることであり、そのうえで当事者の心情に寄り添おうとする、丁寧かつ繊細な心遣いが不可欠であると感じました。
性暴力被害というと、重苦しいイメージがあり、誰もができれば考えたくない気持ちになります。これは考えないことで存在しないものにしたいという心の動きかと思います。しかし、東日本大震災の被災地では、震災以後、レイプなど性暴力やDV被害が増加しています。震災の被害に加えて、女性が暴力のターゲットにされている事実には、本当に心が痛みます。震災を機に、改めて性暴力被害がいつ自分に起きるかわからない、他人事にはできないと強く感じました。今後もさらに多くの方に参加していただき、一緒に考えていきたいテーマであると思いました。長時間にわたる講演にも関わらず、出席された皆さんが最後まで熱心に聴いておられたのが心に残りました。 (塚田恵)
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「性暴力被害」について、被害を受けた当事者と、当事者を支援する立場の人たち、双方の視点から被害をとらえた、具体的なお話をいただきました。わたしも伺って、とても参考になること、心に響くメッセージがたくさんありました。
次回6月15日からは、セルフディフェンスとセルフケアの実践的な学びに入っていきます。どうぞお楽しみに!
(担当:中村奈津子)
自分の<経験知>を活用し、社会に還元できることを見つけたい〜「起業家勉強会」に参加して
中村 設子
「まだ、社会の役に立っとらんなあ…」ここ数年、私は自分のことを、ずっと、そう思っていた。
若い頃から、仕事に恵まれたおかげで、長年、フリーランスとして、企画や編集などの仕事を続けてこられた。そして、子どもを産んだのを機に、大学院に入り、8年も在籍して知識を積んできた。
しかも、大学院にいた頃は、厳しい競争を勝ち抜いて(若者を蹴落として?!)、財団などから研究助成金を得て、何度も海外調査にも行かせていただいたというのに、それをカタチにできていない…。
そもそも大学院に行けたのも、私にそれなりの報酬を支払ってくれた会社や組織があったからなのだ。その恩恵は、身に余るほど受けてきた。だから、大学院の授業料も捻出できたのだ。
当然、今の私は、勉強だけが身になったわけではない。仕事をこなすうえで、数々の困難や修羅場も乗り越え、不得手なタイプの人間とも、上手くやり取りを重ねてきた体験がたっぷりとあるではないか…。
そうした長年の<経験知>を、現在の仕事で充分に生かしているのか?と聞かれたら、残念ながら「NO!」としか、答えられない。
だからこそ、ほとんど何も社会に還元できていない自分が、これからどのように働けばいいのかと、正直、思い悩んでいたのだ。
そんな私が、思わぬキッカケから、参加させていただくことになった今回の「起業家勉強会」である。
2日間連続の講座であったが、その具体的な内容は、下記に示したように、3部構成になっていた。
? 川北秀人氏(IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]によるレクチャー:社会企業家とは何か、社会的役割と社会起業家に必要な考え方、NPOで活躍する人たちの紹介&事例研究など
? 渋谷典子氏(参画プラネット代表理事)による「こんな私でもなれたのですから、アナタもきっとできるはず」というご本人のコンセプトで語られた体験談(たが、それはご本人の謙遜で、実際は、学ぶべき教訓がいっぱい!)と、現在の仕事内容や、参画プラネットにおける人材育成や仕事のやり方などについて
? 伊藤静香氏(参画プラネット常任理事)によるプレゼンテーションのコツと、実践法についてなど
全体の時間的な流れを説明すると、1日目は、川北秀人氏の話をたっぷりと聞いて、NPOについての理解を深める。2日目の午前中は渋谷典子氏による話をもとに、NPOの存在を身近に感じながら、午後からは、伊藤静香氏による、NPOを実現化するための実践的なアドバイスへとつながるのだ。
退屈でつまらない?!大学の授業と異なるのは、参加者が互いに質問し、励まし合うというコミュニケーションを通じての共同作業へと、自然に展開していく点で、実に内容の濃い!講座だった。
三人の講師の方々のお人柄が、良い雰囲気をつくっているということもあるが、しっかりと考えられたプログラムだと感心した(決して、よいしょするつもりなどなく、事実として…)。
つまり、◎NPOを「なるほど!」と理解し→◎自分は「何をしたいか」と確認し→◎ それは「社会的な意義があるのか」と考え→◎それを「どのように実現するのか」をひとりひとりが参加者の前で提示する、というプログラムだったからである。
今、私の自宅デスクの横には、参加者のみなさんからいただいた、励ましのメモが貼ってあり、川北氏が発行責任者となっている『NPOマネジメント』(これを有料のテキストとして使う川北氏の手腕も見事!)を机の上に広げたままだ。
この勉強会に参加していたのは全員女性だったが、高い能力を持ち、人間的にも魅力的なひとが多かった。
「世の中には、こんなにも優秀な女性たちが埋もれているのか…」と私は思った。だが、よく考えてみれば、私の周囲にも、そんな女性たちがたくさんいるのだ。
私は自分の経験知を最大に活用して、多才な彼女たちが活躍できる場をどうしたら作れるのか、いま感じている社会の問題をどうすれば少しでも改善できるのか、考え続けている。
勉強会に出席するために使った時間は、たった2日間だが、あの日が過ぎてから、思索にふけっている時間は、すでにその何倍にもなった。
「行動を起こさんで、どないすんねん!」という内なる声と、
「やるなら、今でしょ?! 今やらないで、いつやるの?!」と某CMに登場する有名予備校の講師から、今日も、言われているような気がしてならない。
■個人と家族のワーク・ライフ・バランス
一人の人間として生きていく上で、仕事と生活の調和がとれていることが理想です。これを家族単位で考えてみるとどうでしょう。出産・子育ての時期は妻の生活ウエイトが高くなり、夫の仕事量が増えるかもしれません。夫が年長の夫婦であれば、夫の退職後しばらくは、妻が仕事、夫は生活を主に担うことになるでしょう。夫婦の間でバランスを取ること、つまり長期的な視野でお互いに生活・仕事を分担するという考え方です。そうであれば、いくつになってもパートナーともども自分の新しい可能性にチャレンジすることもあり、ですよね。
■私のアクションプランを描く
「私のアクションプラン ワーク・ライフ・バランス理想形」として、5年後、10年後、20年後の生き方と課題を書き出してもらいました。内容発表として、お一人ずつ現在の状況、課題などを自由に話していただいたのですが、ご自分の経験を踏まえたアドバイスが飛び出したり、新たな決意表明が聞かれたり、自由な発言が続きました。
■まとめとして
どこか借り物の言葉のような「ワーク・ライフ・バランス」ですが、自分の問題として考えるとき、そのことばは急に現実味を帯びてきます。女性にとって、生活上のイベントは時に大きな変化を引き起こします。結婚、出産、子育て、介護・・・。それらをも大切なキャリアと考えて、夫や家族、友人知人のネットワークを活かしながら、自身の人生を主体的にデザインしていってくださいというエールを送って講座を締めくくりました。
■担当講師:キャリア・コンサルタント、名古屋文理大学・名古屋市立大学講師、NPO法人参画プラネット常任理事 重原惇子
■まずは自己紹介から
受講者16人、順に参加の動機、講座に期待することなどをお聞きしました。
こういった講座は、主催者側もどんな方たちが受講されるのだろうとワクワクします。
案の定、年齢も経験もさまざまな女性たちが、今の悩み、講座への希望を交えて熱く語ってくれました。
■講座の内容は
?「キャリア」とは?・・・
仕事の経歴『ビジネスキャリア』だけではなく、生きてきた人生すべてを自身の経歴とする『ライフキャリア』の考え方をお話ししました。
?わたしにとっての「働く意味」・・・
職業選択の際に最も大切な価値観や欲求、動機、能力を「キャリア・アンカー」といいます。管理能力・技術的機能的能力・安全性・創造性・自律と自立・社会貢献・純粋な挑戦・ワークライフバランスといった8項目が挙げられます。参加者のみなさんに自身の「働く意味」を考えてもらいました。
?ライフヒストリー
人は、出会いや出来事から多くの影響を受けた結果、現在を決定し、未来に結び付けていきます。今回は「私の人生振り返りシート」を使って、みなさんに人生をじっくり振り返っていただきました。忘れていたことをふいに思い出したり、改めてその経験の影響の大きさを実感したりというそれぞれに充実した時間だったと思います。
?職業タイプ診断
これは、6つの職業タイプ(現実的・研究的・芸術的・社会的・企業的・慣習的)の中から、自分の職業興味の傾向をはかるというもの。結果をレーダーチャートに記入してもらうと、人によってさまざまな形があることに気づきます。
自分の興味関心の傾向を知ることは、職業を選ぶ上でも重要ですよね。
■まとめとして
私自身のライフヒストリーも20に及ぶ仕事で彩られています。その結果として現在の「キャリア・コンサルタント」という職業に巡り合えたと思っています。受講者のみなさんが、ご自身のライフキャリアを再認識するきっかけにしていただきたいと思った2時間でした。
■担当講師:キャリア・コンサルタント、名古屋文理大学・名古屋市立大学講師、NPO法人参画プラネット常任理事 重原惇子
講座概要はこちら
第4回:2012年2月26日(日) 13:00〜15:00
コミュニケーションスタイルを確認しよう
講師:本間英彦((キャリア・コンサルタント/経営コンサルタント)
「プレゼンテーション」というと、何か難しいものと思っていませんか。誰でもどこでもプレゼンはできるものです。ちょっとした知識と経験があればOK。あなたも相手の心を動かすプレゼンテーションにチャレンジ!
第2日目午後の講座は、「プレゼンテーションのテクニックを学ぶ」です。
2日間の講座の総仕上げであるこの回では、受講生のみなさんがそれぞれの仕事、活動の場で実践できることを目標に進められました。レクチャーでは、プレゼンに必要な資料の作り方や聞き手の分析について説明をいただきました。最後に、これまで学んだことを念頭に4回目のプレゼンテーション体験!みなさん堂々と発表されていました。
講座内容
1.ショートスピーチ
2.説明資料の作成
?資料作成の手順
?チャートの基本
3.プレゼンテーターの態度に必要な4つの要素(補足:避けたい姿勢)
4.プレゼンテーションの体験(その4)
この講座で学んだプレゼンテーションのスキルを、より効果的にするには視覚資料が重要となってきます。良い資料は聞き手の理解を深めるためにプラスの効果をもらたします。しかし、不完全な資料では発言の重要度を混乱させてしまいます。資料の内容を理解せず、説明できないようなものは使用しないほうがよいと本間先生は言います。さらに、5分のスピーチには1時間程度話せるような資料を準備しておくとよい、とも。なるほど・・・その場しのぎの付け焼刃ではだめということですね(苦笑)。
さらに「プレゼンターに必要な要素」は、自分が発表するときに必ずチェックしたい部分です。受講生のみなさんも熱心に聞いていました。
こうして効果的なプレゼンテーションのテクニックを学んだあとに、4度目のプレゼンテーション体験で締めくくりをしました。
本間先生のプレゼンテーション講座は、グループの人たちと一緒にプレゼンテーションを体験しながら、自分の癖を見直したり、よりよいところを伸ばしたり、実践的な内容が好評です。受講生の方々は、2日間集中的に受講することによって、自分とグループの人のスキルがみるみる上達することを実感できます。この達成感が、次へのステップのエネルギーになるとわたしは考えています。
このプレゼンテーション講座のように、受動的に学ぶだけの講座ではなく実践的で実のある講座を、つながれっとNAGOYAでは今後もお届けしていく予定です。
講座のようす
プレゼンテーション体験に向けて準備中。
みなさん、真剣です!
さあ!プレゼンテーションです。
4回のプレゼン体験の総仕上げです。
講座概要はこちら
第3回:2012年2月26日(日) 10:30〜12:00
コミュニケーションスタイルを確認しよう
講師:本間英彦((キャリア・コンサルタント/経営コンサルタント)
「プレゼンテーション」というと、何か難しいものと思っていませんか。誰でもどこでもプレゼンはできるものです。ちょっとした知識と経験があればOK。あなたも相手の心を動かすプレゼンテーションにチャレンジ!
第2日目午前の講座は、「プレゼンテーションの理解を深める」がテーマです。
前日の講座でのプレゼンテーション体験をさらに深化させ、効果的なプレゼンテーションを行うための具体的な方法を学びました。
講座内容
1.効果的なプレゼンテーションとは
?内容の組み立て方(ストーリー)のポイント〜話す順〜
?内容の組み立て方(ストーリー)のポイント〜考える順〜
?「論理的な展開」とは
?プレゼンテーションでの話し方
2.プレゼンテーション体験(その3)
―内容の組み立て方(ストーリー)のポイントをつかもう
プレゼンテーションの内容を組み立てるときに、まず大切なのは「何が言いたいのか」をしっかり押さえておくことだそうです。まとめ(結論)を明確にしてから、導入→展開というように話の内容を考えます。実際に話す順は、この逆になり、導入→展開→まとめという順に話すのが効果的だそうです。
このポイントを押さえておけば、ちょっとしたスピーチの場面でも活用できそうですね。
プレゼンテーションであがらないためには、「準備」や予行練習はもちろんのこと、最悪のときをシュミレーションしておくこともリスク回避になるそうです。
講座の中で行ったプレゼンテーション体験でも、受講生のみなさんはしっかりと準備の時間が確保されたうえで、プレゼンに臨んでいました。
午前中の講座の最後は、3度目のプレゼンテーション体験です。たっぷりと用意された準備の時間をつかって、自分が話したい内容を組み立てて、3分間のスピーチを行いました。毎回のプレゼンでは、グループの人たちがチェックリストをもとに厳しい「友情のチェック」をして、発表者にフィードバックをしています。受講生のみなさんは、このフィードバックによって、次のプレゼンテーションがよりよくなっていく過程を実感されたのではないでしょうか。最後のプレゼンテーション体験に期待がかかりますね!
プレゼンテーション体験は、こんなかんじで進めます。
「プレゼンテーション」というと、何か難しいものと思っていませんか。誰でもどこでもプレゼンはできるものです。ちょっとした知識と経験があればOK。あなたも相手の心を動かすプレゼンテーションにチャレンジ!
第1日目午後の講座は、「プレゼンテーションをやってみよう」がテーマです。
効果的なプレゼンテーションとは何か、の講義の後、午前中と同じように、
各グループで1人ずつ、プレゼンテーションの実践です。
そのほか、プレゼンテーションの5つの要件、ロジックツリーの手法について
教えていただきました。
講座内容
1.効果的なプレゼンテーションとは(1)
2.プレゼンテーション体験(その2)
・自己紹介
・グループ内で評価
3.プレゼンテーション5つの要件
4.主張の考え方とやり方(ロジックツリーの例)
・グループワーク
一般に、スピーチが苦手な理由は?と聞くと、“緊張する、あがる”というのが
大多数だそうです。緊張せずにすらすらとスピーチができれば、どんなに
いいでしょうか。
しかし、本間先生によると、プレゼンテーションは、緊張したりあがったりする
もので、20年以上もプレゼンテーションの指導をされている先生自身、
講義の前は毎回あがるんだそうです。これには、えぇ〜!と皆さん、びっくり。
だけど、緊張するのが当たり前とわかっていれば、対策がとれるとのお話で、
先生の対処法は、最初に大きな声であいさつをする、というもの。
これで、気持ちがぐっと落ち着くそうです。
「コツをつかむこと。そうすればプレゼンテーションは恐れることはない」と先生。
本日2回目のプレゼンテーションでは、午前中の講義で説明があったように、
今回は準備に時間をかけて実践です。“自己紹介”を目的に、誰に話すかを決めます。
その上で、ポイントを箇条書きにして、実際の話し言葉で書いてみます。
自分で声に出してみて時間を計り、話す内容を手直しするなどの作業をし、
仕上げていきます。準備に15分かけ、発表は3分以内です。
この準備の成果もあって、参加者の皆さんは、さらに落ち着いた感じで笑顔も
よく見られ、楽しんで話をされているようでした。
先生からは、ジェスチャーをもっと活用するとよいことや、手の位置に注意する
ことのアドバイスがありました。
話す相手やポイントを押さえて準備をすることで、ぐっと話す内容が明確になることが
よくわかりました。準備によって余裕ができたせいか、参加者の方の話す表情もより
生き生きしたことが印象に残りました。
「自己紹介を何度かすると、それだけ自分の中に引出しができる」
「普段から話す材料を集めておくこと。そうすれば自分の引出しが増える」
日ごろの小さな努力が、話し上手を作るんだなとわかった回でした。
講座概要はこちら
第1回:2012年2月25日(土) 10:00〜12:00第1日目午前中の講座は、「コミュニケーションスタイルを確認する」をテーマに、
コミュニケーションについての概要の講義と、さっそく各グループで1人ずつ、
プレゼンテーションを体験してみるという内容でした。
講座内容
1.オリエンテーション
・講座の目的/プログラム紹介/ジョハリの窓
・講師紹介
2.プレゼンテーション体験(その1) 5人ずつのグループで
・テーマ「最近の出来事」
3.コミュニケーション概論
・コミュニケーションの基本を学ぶ
4.コミュニケーションチェック
・コミュニケーションに必要な5つの要素をチェックする
貴重な週末のお休みを使って、プレゼンテーションを学ぼうという皆さんですから、
コミュニケーションについて意識が高く、すでにプレゼンテーションの経験も多い
方々だったのでしょう。最初のプレゼンテーション実践も、表情豊かにスムーズに
進んでいきます。
本間先生も思わず「皆さん、何を習いに来たの?」と感想を口にされるくらい、
最初から皆さんお上手でした。
コミュニケーション概論の講義では、コミュニケーションとは相互作用であること、
この点が重要と話されました。
相手と理解し合えて気持ちよくつながるコミュニケーションには、話す言葉以上に、
“ノンバーバル(非言語の)”といわれる、しぐさ、表情、態度などを意識して
工夫することが重要だそうです。
印象に残ったのは、コミュニケーションの決定権は受け手(聴き手)にあると
いう事実です。ですから、話し手が話したいことを話したいように話す、では
よいコミュニケーションとは言えません。それでは単なる独りよがりです。
話し手は、相手が理解しやすいよう様々な面で工夫することが必要なのです。
準備するところから、プレゼンテーションはすでに始まっているのでした!
そうはいっても、受け手の経験、状況、理解力などにはばらつきがあって、
話し手がいくら努力をしてもカバーできない部分も残ります。
聴き手の全員に理解してもらおうというのは、非現実的だし、そもそも無理なこと。
そこまで頑張らなくていいよ、というのが本間先生からのメッセージです。
過半数にわかってもらえばいい、とか自分の味方を作ろうとか、
現実的なところに狙いを定めることが大切だそうです。
ふっと肩の力が抜けて、プレゼンテーションが身近なものに感じた内容でした。
講師の本間先生
まずプレゼンテーション体験!
講座概要はこちら
第4回:2012年2月19日(日) 10:30〜12:00第4回目は、「心と身体に向き合う時間?」のテーマで岩月麻里さんを
講師にお迎えしました。
岩月さんは鍼灸マッサージ師。以前、保育士として勤務されていた時、
頸肩腕症候群を発症。それを機に鍼灸師となられたそうです。
現在、「おばた治療室」で鍼灸、アロマセラピーを取り入れた治療のほか、
自分で身体を整えるための「ほのまき体操」を考案され、名古屋市内
各地で教室を指導されています。
講座では、心と体のつながりの深さ、イメージがもたらす力、ストレス軽減の
工夫などについてお話しいただきました。また、日ごろ簡単にできるストレッチを
ご紹介いただきました。
講座内容
1.深くつながる心と体…体が教えてくれること
(1) 体の状態が心に影響する 例)痛みで気持ちが落ち込む
(2) 心の状態が体に出る
・自律神経失調症 ・運動器の症状 ・通勤障害 ・感情失調
2.心と体の関係を知るエクササイズ…心の力を体験してみましょう
イメージの力と体の反応をみる
3.心の健康を保つコツ
・何もしない時間を持つ ・趣味、習い事の時間を持つ ・囚われをはずす
4.症状が出てしまったら…自分ひとりで何とかしようと思わない
・誰かに話す ・動いてほぐす
5.ちょっとした体操を習慣にする…こまめに動かし疲れを溜めない
心と体のつながりの例では、自分にも身に覚えがあることでした。
20代の頃は、社会人としての経験も浅く、同じ仕事をする先輩もおらず、
気の張る毎日でした。寝言でも、仕事の場面での応対を話したらしい
当時を思い出しました。
このように「仕事の場面を夢に見るのは、深く休息できていない証拠」
だそうです。
作家の夏樹静子が「いい作品を書かなくちゃ」というプレッシャーから
腰痛になり、椅子に座れなくなった話もとても興味深かったです。
(詳しくは、夏樹静子「腰痛放浪記 椅子がこわい」新潮文庫ほか をどうぞ)
そのほか、緊張して食欲がなくなったり、風邪をひきやすくなったりなど、
誰にとっても心と体のつながりの深さはなじみのある事柄ではないでしょうか。
誰でもストレスは受けたくない、でも、ストレスが全くない状況も
あり得ませんよね。
そこでどうするかについては、心の持ちようを工夫することが重要というお話でした。
うまく息抜きをする、リラックスできる時間を持つことの大切さ、
中でも興味深かったのは、「私の常識=あなたの非常識」というとらえ方です。
自分にとって当たり前のことは、相手も同じように考えるだろうと
思いがちですが、「これがストレスの発生源」と岩月さんはおっしゃいます。
そこから、相手が自分の期待した言動をしてくれないことにイライラする、
ショックを受けるなどが起こり、体の不調を招きます。
「人の常識はバラバラだ」という視点から出発すると、ストレスはぐっと
減らせるそうです。
「私はこう考えるけど、あなたはそう考えるのね」と、自分の常識への
こだわりやとらわれから自由になると、相手の言動を肯定的にとらえられるように
なったり、柔軟に受け流したりできて、自分がラクで居られるという流れになります。
もっと自分の心や体に目を向けて、自分の常識に振り回されず、
こまめにストレッチや運動をしよう、さらにセルフケアが上手になろう!と
心に決めた回でした。
講座のようす
「今でこそ“絶対アウト”と社会的認識の深まったセクシュアル・ハラス
メントも、20年ほど前では、女性が職場で男性から性的なからかいや
嫌がらせを受ける例はよくある普通の話でした。
今回のパラハラに対する指針によって、いじめ、嫌がらせに対する
社会的認識が高まることを願っています」というお話には全く同感です。
女性も男性も、誰にとっても、うつにならない、過労死を出さない、
働きやすい環境であるのが当たり前、の時代になってほしいと強く感じました。
講座のようす
講師の小嶋智子さん
今回は、「女性のライフステージと
女性ホルモン(エストロゲン)の関わり」を中心に、
女性の年代とそれに伴うトラブル、
その乗りこえ方をスライドにそってお話しいただきました。
? はじめに 生活習慣を見なおす〜食事、ストレス、運動面〜
? 女性のライフステージとエストロゲン
〜エストロゲンは女性の人生に深く影響する〜
? エストロゲンの働き
? 身体症状とエストロゲン
? 女性と病気、症状
? 子宮内膜症 ?子宮筋腫 ?子宮頚がん
?不妊症 ?性感染症 ?望まない妊娠
? 主なライフステージの特徴
? 更年期 ?老年期 ?思春期
? リラクゼーション 〜呼吸法をもちいて〜
? 医療機関と上手につき合うために
ストレスや食生活などの原因によって、エストロゲンの不調が起こり、
生理不順や子宮内膜症の症状が起き、不妊症に悩む例や、
加齢によってエストロゲンの分泌がなくなることから、骨粗鬆症となり、
骨折が原因の寝たきりが起き、QOL(生活の質)の低下を招くなど、
女性ホルモンが、女性の人生そのものと
こんなにも深くかかわっているのかと改めて発見!させられました。
女性の病気には自覚症状がないものも多く、
定期検診いかに大切かを感じました。
もちろん、リラクゼーションをうまく取り入れてストレス軽減を図るなど、
普段の日常生活を見なおして、
自分自身でケアをすることが基本にありますが。
自分の今いるステージだけでなく、
これから迎える更年期や老年期に備えるために、
また、娘がいる方には、彼女たちが迎える思春期や性成熟期を
より充実したものにするために役立つアドバイスや
情報をたくさん伝えていただきました。
女性は、家族のケアをする役割があって、
自分のことは後回しにしがちであること、
症状があってもたいしたことはないとガマンしがちであることが語られると同時に、
一人で抱え込まないで専門家に気軽に相談してね、という
清水さんの温かいメッセージが伝わる内容でした。
この日に使用した資料です。
「women's Life Cycle あなたは今、どのステージにいますか?」
(2009年:バイエル薬品株式会社)
名古屋市男女平等参画推進センター 後期講座
「女性の生き方に学ぶー19世紀イギリスと女性」
講座概要はこちら
第6回:2012年1月22日(日) 13:00〜15:00
講師:渡辺敬子さん(名古屋女性学グループ)
19世紀を生きた6人のイギリス人女性の人生をひもときながら、当時のイギリスがどんな社会であったかを学び、同時に女性の生き方の多様性を考える講座です。
第6回目は、後に夫となったJ・S・ミルと共に、男女の平等を論じた著作活動を行った「離婚したかった女性、ハリエット・テイラー・ミル」の生き方とその主張のお話でした。19世紀のイギリス社会において、「結婚」が中・上流階級女性にどのような不利益を与えていたのか、講師の問いかけで参加者が一緒に考えました。身近なテーマだけに、会場から質問、意見が続出し、活気ある最終回となりました。
講座内容
スライドに沿って、次のような項目で講義が進行しました。
・ハリエットの生きた時代:ヴィクトリア前期
・女性の理想像:ジェントルウーマン(男性に扶養されるのが理想的)
・ジェーン・オースティン(DVD)
・ハリエットは何を訴えたかったか?
・急進的な女性活動家・改革者
・イギリスの法律:女性の隷属 The Subjection of Women
・結婚と法律
・正式の結婚:結婚予告制、結婚許可証制
・女性は鞭の下にあるべし
・時代を先取りしたハリエット
・J.S.ミル
・ジェームズ・ミル
・ミルは「学者」ではない
・ハリエットの男女平等とは
・ハリエットの主張:女性も離婚する権利がある
・『女性の隷従』 The Subjection of Women
・ミルが刻ませたハリエットの墓碑銘
・19世紀ヴィクトリア時代:なぜ中流階級の女性たちが立ち上がったか
・キャロライン・ノートン
・バーバラ・レイ・スミス
・1866 女性参政権を求める請願書を提出
・ヴィクトリア時代で取り上げた5人の女性(中流)の共通点は?
・まとめ:女性を解放するのは女性自身である
ハリエット・テイラー・ミルを知っていますか、という問いかけから講義が始まりました。歴史に埋もれた女性たちを取り上げたのが、講座テキストの『19世紀女性たちの挑戦』です、との説明の後、本題に入りました。19世紀前半のイギリスで、ハリエットが果敢に女性の「離婚権」や「職業に就く権利」「男女平等」を訴えたのはなぜかを「結婚」と「離婚」をキーワードにして講義が進みました。
まず、結婚願望が描かれているジェーン・オースティンの小説に注目しました。当時女性が結婚を奨励されていたのは、女性が自活できない社会制度だったからです。女性には財産権がなく、父親や夫が亡くなると一家の財産はすべて息子が相続し、娘だけの家族の場合は、父親・夫の親族男性が相続することが法律で定められていました。一見はなやかなイメージがあるヴィクトリア女性たちですが、住んでいる家から追い出され路頭に迷う可能性もあったのです。講師のこの説明に、参加者は唖然とした表情でした。
こうした法律の不当性(法律が女性を守ってくれないこと)を論理的に批判したのが、ハリエット・テイラーです。彼女は同じリベラルな考えを持つJ・S・ミルと協力して男女平等論を発表しました。女性は男性に従うこと(隷従)が「自然」と考えられていた時代に、それを「不自然」であると考え、「女性の隷属が『自然』というのは『現状肯定の理由づけであり、支配者の自己正当化』に他ならないと反論した」(テキスト62頁)のです。また、「女性が『産む性』であることが女性を政治的権利や職業から排除する理由にはならない」(同64頁)、「女性を解放するのは女性自身である」(同65頁)とも述べています。テキストでこれらの部分を講師が音読した時、何人もの方がうなずいておられました。現代にも通用する論理的な主張でした。
当時の社会通念に反対する男女平等の考えを発表したハリエットとミルは、人々から痛烈に批判され、二人の個人的関係も非難されました。他にも既婚女性の不当な扱われ方について新聞に抗議記事を投稿したり、著作活動で既婚女性財産法等の改正運動を進めた例として、キャロライン・ノートンやバーバラ・レイ・スミスも紹介されました。
講師の渡辺さんの柔らかい語り口や問いかけに励まされて、参加者の方々から疑問や感想、意見が次々に出されました。ハリエットが素晴らしい女性なのか、夫とミルを天秤にかけたずうずうしい女性なのかという点では討論にもなりました。ヴィクトリア女王は女性の問題をどう考えていたのだろうという発言もありました。「結婚」と「離婚」の問題に関して、「不自由な時代に頑張ってくれた女性たち」の存在に気づいた講義だったと思います。講師の渡辺さんは、ハリエットの「女性を解放するのは女性自身である」という言葉で講義をまとめられました。
講座の様子
講師の渡辺敬子さん
6回講座の締めくくりに、講師側代表として名古屋女性学グループを主宰する青山静子先生から、同グループの設立の経緯、研究活動の歴史と、英語で日本人女性のことを書いて発信するという活動の趣旨についての説明がありました。青山先生ご自身の留学体験なども話してくださり、みなさん、熱心に聞いておられました。
最後に参加者された方々の講座に対する感想を挙げておきます。最多は、「映画を見る時、これからはその背景も考えるようになると思う」でした。ほかには、「断片的知識がつながった」「テキストを見た時はむずかしくてどうしようかと思った」「19世紀にこんなにも批判的な発信をしていることに驚いた」「現代の女性たちの地位が歴史に埋もれていた女性たちに負うところが大きいことを発見」「19世紀女性のエネルギーと、それを調べた講師たちのエネルギーに感心」「黙っていてはだめ」「批判的に物事を見よう」「私の夫はヴィクトリアン時代の生き残りかも」「イギリス以外の国の話も聞きたい」などがありました。
この講座の出席率は最後まで高かったと事務局からお聞きしました。講師をさせていただいた私たちには嬉しいことでした。現代女性にとっても「古くて新しい問題」を参加者のみなさんと一緒に、ヴィクトリア時代女性の視点で見直すことができた貴重な機会だったと思います。講座をお世話くださった参画プラネットのみなさん、参加者のみなさん、ありがとうございました。
多田倫子(名古屋女性学グループ)
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19世紀を生きた6人のイギリス人女性の人生をひもときながら、当時のイギリスがどんな社会であったかを学び、同時に女性の生き方の多様性を考える講座です。
第5回目は、ウェールズに留学されたことのある翻訳家の藤沢邦子さんによる、ウェールズ労働者階級出身のベッスィ・カドワラドゥル(1789-1860)の生き方と、同時代ベッスィと同じような境遇におかれていた女性はどうであったかについてのお話でした。
レジュメに沿って、次のような項目で講義をいただきました。
・ベッスィ・カドワラドゥルの生涯
・メイドの仕事
お勤め(パメラ・ホーン『ヴィクトリアン・サーヴァント:階下の世界』より)
中流の職場
上流の職場
・家庭文化を支える多様な家事使用人
・住み込み女性家事使用人の平均年収
・使用人に関する法律の変遷
・救貧法の変遷
・今も続く貧困問題、福祉のあるべき姿は?
・Victorian Britain Key Words
・家事使用人の求人広告
・従軍看護婦の合意書
・もっと知りたい人のために(資料の紹介)
まずはベッスィについて…
児童を働かせることが一般的だったため、9才から女中見習いとして働いていましたが、比較的雇い主に恵まれたため英語の読み書きができました。
恋愛もしました。結婚を約束したトマス・ハリス船長が航海中に亡くなった後も、一度伯母の勧めで婚約をしましたが結局破談にし、生涯独身を貫きました。
彼女に言わせれば「それほど好きでない人と結婚して自由を奪われるよりは、メイドとして自立していたほうがよかった」のです。
メイドとしての15年間に渡る船上生活。
60歳を過ぎてから従軍看護婦志願。
クリミアでのナイチンゲールとの確執・・・。
ウェールズ人気質ともいえる誇りの高さが、ベッスィの生き方に現れているとの指摘にうなずかされました。
また視点を変えて、同時代を生きたメイドの気持ちを歌った詩をご紹介くださいました。この詩は、ビクトリア時代の風潮を反映してかメイドにとって分をわきまえることがいかに大切かを示すものですが、実際は下級使用人の在職期間は短かったのだそうです。階級があきらかで、転職によって昇れる階段であるなら上を目ざしたいというわけでしょうか。メイドを含む家事使用人の種類・階級・年収の比較も見せていただいてそんな風に感じました。
救貧法の変遷で、イギリスで宗教と政治のかかわりが深いことを示す例として、古くは教区ごとの救貧行政がありました。そこでは延々とだれがどのように救済されるべきか救貧の仕分けがなされていたのです。それに続く資料としてご紹介のあったガーディアン紙の見出し「英国暴動:暴徒は福祉受益権を失ってしかるべきか?」では、現代の貧困問題においても年金や生活保護享受に値する貧者と値しない貧者の選別のあることが示唆されており、議論の相変わらず感がクローズアップされました。これがもはやイギリスだけに続く問題ではないことは昨今の状況からあきらかです。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
藤沢さんが、この講座のために資料として持ってこられたたくさんの書籍のなかに、デボラ・フィッシャー著『プリンセス・オブ・ウェールズ』があります。これは藤沢さんご自身が翻訳された本です。このたび、つながれっと名古屋に一冊ご寄贈されました。
石河敦子(名古屋女性学グループ)
19世紀を生きた6人のイギリス人女性の人生をひもときながら、当時のイギリスがどんな社会であったかを学び、同時に女性の生き方の多様性を考える講座です。
第4回目は、世界的に有名なトワイニング家(創業1706年・英国王室ご用達の英国紅茶製造販売会社)に生まれながらも、貧しい人々への慈善活動(特に救貧院の環境改善)に尽くした淑女(レディ) ルイーザ・トワイニング Louisa Twining (1820−1912)を取り上げました。
講座内容
スライドに沿って、次のような項目で講義されました。
(また、要所要所で、今回の講座のテキスト『近代イギリス女性たちの挑戦』を読み上げて、ポイント解説されました)
・なぜ今、トワイニグを語るのか?
ヴィクトリア朝時代は格差社会!
・ヴィクトリア期―イギリス帝国栄光の時代(1837-1901)
・トワイニング家―老舗紅茶製造販売会社
・ルイーザの社会活動
救貧院訪問
救貧院の衛生状態改善
社会科学振興協会(Social Science Association)(1857年設立)への参画
・社会科学振興協会と女性の社会改革への参加
English Woman’s Journal 発行(1859-94)
・二つの国民 Sybil, or The Two Nations (1845)
・イギリスの繁栄
産業革命 産業ブルジョワジーと工業労働者の出現
植民地政策
・上流階級の意義と慈善活動
noblesse oblige(ノブレス・オブリージェ)=上流階級の人々に伴う重責と義務
・救貧院(Workhouse)
・救貧法(the Poor Law)
旧救貧法 1601年 エリザベス(1世)救貧法
新救貧法 1834年
・E.チャドウィック Edwin Chadwick (1800-90)社会改革者
・もう一つのイギリス国民 下流の人々
貧困・劣悪な環境・過酷な労働
・下流階級の実像
高い子どもの死亡率
・チャールズ・ディッケンズ Charles Dickens (1812-70)
Oliver Twist(1837-9)
・実社会を見据えた福祉政策への移行
・イディオム(英語)
名古屋女性学グループの古参でまとめ役でもある高橋登紀恵さん、時折ユーモアを交えながら、トワイニングの生涯や時代の背景について雄弁に語ってくださいました。実は、姉のエリザベス(大英博物館所蔵の絵画があるそうです)とともに、植物画家であったルイーザは、画集を2冊出しているというお話も興味深くうかがいました。
トワイニング家といえば、紅茶、紅茶といえば、アフタヌーン・ティー、そのはじまりについても触れられました。また、ウェディングドレスが白いのは、ヴィクトリア女王がはじめたものだとか。イギリスでクリスマス・ツリーを室内に飾るようになったのは、ヴィクトリア女王の夫君、アルバート公がドイツ出身で、ドイツ起源の習慣を、ツリーを宮殿に飾ったことから広まったとか(1841年)・・・。
講座の様子
講師の高橋登紀恵さん
折しも、小泉政権の施策以降、格差が広がり、貧困の問題がクローズ・アップされてきている昨今。子どもの貧困問題は、至急改善策を取る必要性が叫ばれています。
良家の子女でありながら、その行動規範を超えて、貧困層の人々のために慈善活動を断行したトワイニング。社会改革までは目指さなかったという理由で、歴史の中で顧みられることがあまりなかったルイーザの生涯を今回たどってみて、当時社会に進出して行動することの少なかった女性の中で凛として自分の生き方を貫いた様に共感を覚えました。
秦野康子(名古屋女性学グループ)
◇コミュニケーションゲーム
・二人一組になり、お互い別々の指示を受け、その指示を実行しながらコミュニケーションをとる
◇「コミュニケーション力」とは?
◇コミュニケーション力の特徴と類似概念
◇対人コミュニケーションとは
・二者間あるいは少人数の人びとの間で交わされる情報の交換過程のこと
◇対人コミュニケーションの各要素
・送り手と受け手
・受け手のスキル
・送り手のスキル
◇言葉だけで図を説明する
・言葉だけで図を説明する(説明する側はゼスチャーなし、書く側は質問なし)
・言葉だけで図を説明する(説明する側はゼスチャーあり、書く側は質問あり)
◇円滑な対人コミュニケーションを行うために必要な要素
講座の様子
受講生が交代で「言葉だけで説明」に挑戦!
図を言葉だけで説明。説明する側も、説明を聞いて書く側も必死です
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
2日間、全4回の受講お疲れ様でした
講座の中の沢山のワークショップを通し、言葉だけでなく体でも心の仕組みを体験できた講座でした。
ミスや記憶が歪むことを直すのは難しい、けれど自覚し意識することで、「真のクリティカルシンカー」へ近づいていけることを学びました。
◇行為者・観察者バイアス
◇誤った原因帰属
・目につきやすいものを原因と決めてしまう
・そもそも関係がないものなのに、関係があると錯覚してしまう
◇データパターンに基づく帰属
◇ステレオタイプ
・「〇〇の人は、××だ」というような、ある集団に対して持っているイメージのこと
・なぜ、ステレオタイプにとらわれた考え方がまずいのか?
◇選択的情報処理
◇クリティカルシンキング
・適切な基準や根拠に基づく、論理的で、偏りのない思考のこと
・自分のクリティカルシンキング志向性はどのくらい?
◇クリティカルな思考をする人の特性
◇真のクリティカルシンカーを目指す
・真のクリティカルシンカーとは、単に「論理的に考えられる人」でなく、「必要性を見極め、周囲への配慮も忘れずに、クリティカル・シンキングをすることができる人」のこと
講座の様子
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人間は歪んだ見方をしたり、判断を誤ってしまうことがよくあると、ワークショップを交えながらお話していただきました。
「〜に違いない」、「〜らしくない」、「〜のくせに」など、言葉で人や物事を決めつけてゆがんだ見方や考え方をしてしまっていることも多いですね。